顎関節症の治療
顎関節症の治療
スプリント療法
上、もしくは下の歯をプラスチック製のプロテクターでおおうことで、顎の関節や筋肉の負担を軽くしていきます。
ソフトスプリント
上下の歯のあいだにワンクッションおいて、かみ合わせないようにします。
ソフトスプリントを利用することで萎縮した筋肉のリラクゼーションをはかるというものです。
顎関節症の中でも、筋肉の萎縮が原因となるケースの治療に有効です。
ソフトスプリントを装着しているあいだは、上下の歯が接触しません。
そのため不定愁訴などがある場合、その不定愁訴の原因がかみ合わせによるものか否か判断することができます。
ハードスプリント
顎関節症において重症なケースに用います。
関節円板(クッションの役目を果たす組織)のずれを治し、顎関節を快適な位置に誘導するために有効です。
こちらは保険適の応外です。
費用は、検査・診断料を含めて5万円~10万円です。
ダイレクトスプリント
噛みあわせを安定させるために、歯の高さが足りない所を医療用のプラスチックで調整します。
まずはハードスプリントにて顎関節が正常に機能する位置を確かめ、取り外し可能なスプリントから固定式のスプリントへ移します。
ハードスプリントで顎関節を整位しても、スプリントをはずしてしまうと、また元の位置に戻ってしまいます。
ダイレクトスプリントは歯に直接接着しますので、スプリントをしたまま日常生活を送ることができ、快適なかみ合わせの状態が24時間保たれるので、再発の防止にも繋がります。
当院では患者さまの症状に合わせ、カスタマイズされた再発防止指導も行います。
顎運動採得と咬合診断
咬合器を使って前後・上下の顎の動きを採取し、正しいかみ合わせの位置の診断をおこないます。
ダイレクトスプリントによって下顎頭が安定した位置に誘導され、快適な機能位を獲得されたあとに行います。
残念ながら適当な模型で上下をあわせるのでは、顎関節の運動を再現することができません。
患者さんから採取したデータより、咬合器で正確にかみ合わせの状況を再現し、診断をおこないます。
中心位での治療
下顎の位置が決まり、顎関節の安定がはかれた時点で、セントリックバイトを採得し中心位でかみ合わせの診断をおこないます。
歯科医師も生身の人間ですからミクロン単位の正確な治療はほぼ不可能であり、知識・経験の差がここに現れます。
この中心位という基準を定めることが、治療の出発点となります。
顎関節症の治療(原因別)
まず最初に顎関節の場合にはその症状において指導の仕方が違うんです。
例えば具体的にいうと悪いかみ合わせというものが多いとしたら、これはかみ合わせを治していかなければなりません。
1. かみ合わせに問題がある場合
すぐ歯を削る歯医者さんがいますが、当院が所属しているP.G.Iというグループは歯を削る団体ではなく、歯を足していきます。
咬合調整という言葉がありますが、咬合調整というのは歯を足すことがメインです。
過去には大学病院でも削っていました。
だからどんどんだめになって、どんどん症状が悪化していってしまう症例もありました。
1度削った歯は元に戻ることはございません。
削るのではない、足すことのほうが多いということ。
あとは矯正治療をして理想的なかみ合わせにしましょう。
2. TCHの場合
TCHの指導法は当院で確立されています。
歯牙接触癖については簡単なのは普段からかまないようにするということ、要はそれだけなんです。
普段からかまないようにするには精神科と一緒にアプローチしますが、この改善でほとんど治ります。
つまり生活習慣をまず見直しましょう!というアプローチです。
顎関節症の人は例えば何か集中しているときにずっとかんでいます。
それを直すようにと。
TCHはそれだけです。
今、歯をかんでいるということに気づくことが重要です。
TCHだとしたら、歯と歯を接触させることがいけません。
何でいけないのかというと、人間は本来、上の歯と下の歯が接触する時間は24時間のうち20分から40分程度が理想的だと考えられています。
それは食事の時間を言っているのではなくて、歯と歯が接触している時間を全部合わせたものです。
歯と歯が接触する時間とは一体何かというと、話しているときに歯と歯が当たる場合と食事をしているとき以外は当たってはいけないんです。
ところがTCHの人は優に一日4時間・5時間、上下の歯が接触しています。
つまり普通の人の20倍、30倍、歯が接触しているんです。
歯が接触しているということは筋肉を使っています。
筋肉を使っているから疲れるんです。
顔の周りはいつも筋肉痛になってしまいます。だから触って痛いんです。
だから歯と歯を当てないようにします。
行動認知療法の中で自分の歯自体が当たってはいけない、逆に言えば行動認知療法は当たっているということに気づくということです。
TCHの人は当たっていることに気づかないんです。
通常、顎関節症を持っていなくて歯と歯が当たっていない人は、当たっていると当たったとわかるんです。
TCHの人は当たっていることがわからない。そこを脳を変えなければいけません。
TCHの方は歯が当たったということは何かかんでいるということ、それに気づくとすぐにやめるので、やめるとすぐに症状が消えていきます。
顔の周りから痛みがとれると顔が本当に穏やかになります。
3. 歯ぎしりに問題がある場合
歯ぎしりについては幾つかの特徴が言われています。
睡眠というのは1.5時間、90分単位でレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返します。
歯ぎしりというのはレム睡眠とノンレム睡眠の間で起こるというデータが出ています。
深度が深くなっているときには歯ぎしりは起こりません。
つまり睡眠を深くとれない人というのは歯ぎしりをする確率がものすごく高くなります。
だとしたら歯ぎしりを激しくする人は睡眠を深くしなければいけないということです。
ということは睡眠指導が入ります。
では睡眠指導をするとき、場合によっては生活習慣の見直しが必要になります。
お酒を飲むと眠りの導入は早いわけです。
スッと入るけれども深く入りません。その間にいびきをかきます。
いびきをかくというのは浅い睡眠です。
だからお酒を飲んで毎日寝ている人はお酒をやめたほうがいいということになります。
また、睡眠時無呼吸症候群の人は歯ぎしりもしやすければ睡眠も浅いんです。
ということは睡眠を深くしなければいけないんです。
睡眠時無呼吸症候群が関与しているのだったらすぐ紹介状を書きます。
だから歯ぎしりの場合であるならば、そちらのほうのアプローチです。
顎関節症の症状
顎関節症についてはその3つのうち1つでもでたら顎関節症の疑いがあります。
症状については今言ったような3つのものが必ず出て、その中の1つは顎関節症と言わないんだけれども、それ以外のものとしては僕たちは不定愁訴、あるいは関連痛ととらえてしまうんです。つまり原因がはっきりわからないんだけれども、何か腰が痛い、何か頭が痛い、何か目まいがするなどです。